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成功企業のブランディング事例 Vol.1「Slack」

ZeBrand Japan

本シリーズでは、様々な企業をピックアップし、その企業のブランディング手法や、それによって得られた効果についてご紹介します。

ニューヨークでサービスをローンチし、一年で約55,000ユーザーを獲得したZeBrandによって、ブランディング初心者でもわかりやすい解説を目指します。国際的な基準に基づいたブランディングのステージをベースに各企業の取り組みをご紹介するので、このシリーズを読みながら総合的にブランディングを知り、知識を蓄えていきましょう。

この記事は、ブランディングに興味はあるものの
・ブランディングが実際どんなメリットを企業にもたらすのか知りたい方
・ブランディング知識を蓄積したい方
に役に立ちます。

ブランディングの概要に関しては、以下の記事をご参照ください。

Define:ブランドの核となる方向性を整理し、定義する
・ブランドDNA
Design:ビジュアルアイデンティティをデザインする
・ブランドストラテジー
・ビジュアルアイデンティティ
Deliver:ブランドを世界中に届ける
・ブランドアセット
Refine: ブランドを見つめ直す
・フィードバック

ZeBrandによって定められたブランディングのステージの概略
Define、Design、Deliverのサイクルでブランディングを進めましょう

Slackについて

第一回ではSlackを取り上げます。Slackは仕事の連絡はもちろん、プライベートな連絡でもチームで使いたくなるようなコミュニケーションツールを提供しています。無料でも利用できますが、有料版ではGoogle DriveやOffice 365といった外部サービスとの連携なども可能です。今では、世界中の何百万ものチームがSlackでつながっています。

Slackを取り上げた理由は2つあります。1つ目は、Slackがリリース(2013年8月にプレリリース)から短期間で爆発的にユーザー数を伸ばした魅力的な企業だからです。新しくブランディングを始めたい方には、Slackのような企業は参考になるでしょう。2つ目は、Slackがしっかりとしたブランドガイドラインを用意している点です。とても参考になるので、「Define、Design」に着目しながらSlackのブランディング事例について以下でご紹介していきます。

Slackのブランディングのポイント
Slackの特徴は、顧客との関係性を重視することによる熱狂的なファンの存在にあります。
Slackが公開しているブランドガイドラインを中心に、Slackのブランディングについて紐解いていきましょう。


SlackのDefine 〜ブランドの核となる方向性を整理し、定義する〜

Slackのブランドがどのように定義(Define)されているのか、見ていきましょう。

ブランドストラテジー

Slackのブランドストラテジーのなかで着目したいのは、彼らの顧客に対する姿勢です。Slackのミッションは「皆さまのビジネスライフを​よ⁠り⁠シ⁠ン⁠プ⁠ル⁠に⁠、​よ⁠り⁠快⁠適⁠に⁠、​よ⁠り⁠有⁠意⁠義⁠に​」というものです。
常に顧客を中心に考え、「カスタマーファースト」でサービス展開することを意識しています。それを実現させるため、Slackには何を行う時でも念頭におく、6つのコアバリューがあります。

https://slack.com/intl/ja-jp/careers

オフィスをデザインするときや、何かを始めたり、発言するときは、常に社員がこのバリューに沿って考え、行動しています。このように大切にされているバリューがあると、社員のモチベーションの向上につながりますし、一貫したブランドを保持する大きな力となります。SlackのCEOであるスチュワート・バターフィールド氏自身も、バリューの設定が社員の団結を促し、Slackの成長につながったと言っています。

では、バリューをもとに「カスタマーファースト」というゴールに向かって、何が具体的に行われたのでしょうか。
Slackは大規模な統合マーケティングキャンペーンやメール戦略、インフルエンサーに多大な費用をつぎ込むなどということは行っていません。Slackは顧客からのフィードバックを中心とした製品改善や取り組みを行っています。Slackはなるべく多くのフィードバックを得られるようにサービスを設計しています。それによって、毎月ZendeskやTwitterを通して何万ものフィードバックを受け取り、全てのフィードバックにカスタマーサポートチームが返信、対応しているのです。


ブランドDNA

企業が何かを発信する際に、必ず文章を使います。文体に悩むことはないでしょうか?特に、複数名で発信を行うと、さまざまな文体で発信してしまう恐れがあります。文体が定まっていると、ブランドとしての振る舞いに一貫性が保たれます。
Slackではブランドガイドラインに「Voice and tone(ブランドの声のトーン)」が規定されています。

実際、Slackが発信する文章の口調は一貫されています。
例えば、オフィシャルサイトのブログの文章は、簡潔でわかりやすさを重視しながら、実際の人がこちらに語りかけているようにも感じさせます。
例えば、

​​ここで、デザイン思考についてや、ロゴの新たに進化した点について細かく解説してたら長くなりますし、忙しいユーザーの皆さんのご迷惑になりますからこの辺でやめておきますね。

https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/intl-ja-jp-slack-new-logo

といった文章は教科書のような固い口調ではなく、優しさを感じることができます。ブログだけではなく、Slackのリリースノートについても同じ口調が見てとれます。例えばバグ修正に関しても、ただ「バグを修正しました」と報告するだけではありません。

Mac のデフォルトのシステム文字列エンコードを使わない地域で特定のファイルタイプを開くと、ネイティブの依存関係に陥りクラッシュが発生していました。渡された文字列をシステムのデフォルトのエンコードとして解読しようとしたのが原因です。何のことかさっぱりでも大丈夫です、もう修正済みですから!

https://slack.com/intl/ja-jp/release-notes/mac

必ず文章の向こうに人がいるということが想像されます。また、Slackの文章は柔らかいですが、それでいて距離が近すぎるというようにも感じません。Slackはブランドガイドラインで文体について、以下のように述べています。

私たちは個性的です。しかし、私たちは決して個性に圧倒されることなく内容で勝負します。言いたいことは、言い方を褒められることより、はるかに重要です。言い方によって内容が理解されないような場合は、私たちは間違っています。

私たちは文章を書くとき、何よりも「わかりやすさ」を重視します。明確であること、簡潔であること、無駄な言葉を省くこと、目的をはっきりさせること。 しかし、ロボット的にならないようにします。

私たちは言葉の持つ力を認識し、感謝します。雄弁に、そしてエレガントに言葉を使います。(いい気になって自分自身に酔いしれるようなことは決してありません。)

(訳)私たちは本物です。
私たちは私たちの話しを聞いてくれている人が好きで、
私たちはそこでする話に誇りをもっています。
それが私たちを際立たせています。

このような規定がSlackの発信する文章に柔らかさをもたらすとともに、どのコンテンツにおいても一貫した文章を作成することができ、ユーザーに安心感を与えるのです。

SlackのDesign 〜ビジュアルアイデンティティをデザインする〜

ブランドデザインはブランドガイドラインに詳しく規定されています。

こちらを参考にしながら、進みましょう。

https://a.slack-edge.com/4d5bb/marketing/img/media-kit/slack_brand_guidelines_september2020.pdf


ブランドデザイン

まず、ロゴの変遷について取り上げます。ブランドは常に進化するもので、時には大きな変更をすることも必要になります。Slackは2019年にロゴの変更を行いました。この変更は2013年の創業以来初めてのブランドアイデンティティの大幅な変更となりました。ではなぜ、Slackはロゴを変更する必要があったのでしょうか。

Slackの公式Webサイトによると、

・従来のロゴは11色の色を使用、背景は白以外を想定しておらず、角度も調整が難しいなど、非常に使いにくいロゴだった
・用途別に複数のロゴを用意するものの、統一感がなくなり、ブランドの一貫性が失われた

https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/intl-ja-jp-slack-new-logo
https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/intl-ja-jp-slack-new-logo

以上を踏まえ、ロゴの変更に踏み切りました。

https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/intl-ja-jp-slack-new-logo

ブランドの顔であるロゴを軽い気持ちで変更するのには注意が必要ですが、ロゴの機能が失われつつある場合には思い切って変更することもブランドのために必要だと言えます。Slackは従来のロゴの本質を引き継ぎつつ、シンプルな色使いであらゆる場所で使えるようなロゴへと変更したことで、ブランドの一貫性を担保することができました。今ではあのロゴを一目見るだけで、それがSlackのものであるとわかります。


ブランドパーソナリティ

また、ウェブサイトのデザインに関しては、共感や遊び心といった、バリューを踏まえた遊び心のある鮮やかなカラースキームや、包容力のある魅力的なイメージを使用しています。

ブランドのデザインを規定することによって、ユーザーはSlackとのあらゆるタッチポイントで、Slackの一貫性を感じることができます。それによってユーザーのロイヤルティも高まっていくのです。


まとめ

本記事ではSlackの顧客と強いつながりを持って成長していく姿勢が垣間見れたのではないでしょうか。コミュニケーションプラットフォームのSlackが設立から短い期間で他競合を追い抜いてユーザーの心を掴んだ秘密に迫っていきました。「カスタマーファースト」というゴールを掲げる企業は沢山あるでしょう。しかし、そのゴールに向かってどのようにブランディングをしていくのかという戦略を立てることが、いかに大事かわかります。

ZeBrandはブランディングに関して、戦略構築からアセット作成まで網羅したブランディングプラットフォームです。ブランドガイドラインの作成や各種SNS用テンプレートの作成なども可能です。ご興味ありましたら以下よりお問合せください。

参考:
https://a.slack-edge.com/4d5bb/marketing/img/media-kit/slack_brand_guidelines_september2020.pdf
https://slack.com/intl/ja-jp/careers
https://www.esquire.com/jp/culture/interview/a29409650/slack-ceo-stewart-butterfield-interview/
https://thenextweb.com/news/wow-slack-got-big
https://review.firstround.com/From-0-to-1B-Slacks-Founder-Shares-Their-Epic-Launch-Strategy
https://zebranding.com/blog/how-small-businesses-grow-slack-and-mailchimp#what-did-slack-do-that-was-different-from-its-competitors


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